左図*1 は、左手、手のひらの皮膚を取り除いた解剖図とばね指のイメージ図です。

 物を握るということは、腕にある筋肉から長く伸びた腱が、指の関節を跨いで、骨に付着し、指の関節を曲げることで可能となります。
(腱は長いほど、強くて、持続的な力が発揮できます)。
 こすれやすい場所の腱は、腱鞘に覆われ、保護されています。
 手のひらでの腱鞘には、さらに靱帯(輪状靱帯)があります。
 この靱帯により、手のひらの腱と腱鞘は、左右、前方に動かないように、しっかりと覆われています。
 輪状靱帯というトンネルの中を、腱が行き来することで握ったり、開いたりすることが出来るのです。
ばね指の状態では
 指が伸びている時は、コブは靱帯を刺激せずに、痛み無く使えます。
 強く握ると、コブが靱帯からはみ出ます。その状態から、指を伸ばそうとすると、
コブが靱帯を無理に押し広げるために、強い痛みを生じます
特に、夜間は、睡眠中、無意識に強く握りってしまいます。また、むくみが強くなり、コブが大きくなるため、起床時に引っかかりが強くなります。
 日中に、痛みを繰り返したり、コブを圧迫したりして、炎症が続くとコブは成長し、治りにくくなります。

(*1 R.カリエ 荻島秀男訳 「軟部組織の痛みと機能障害」 医歯薬出版 p203、1979より抜粋、加筆)

    
(1)ばね指とは
   腱にコブ(結節)ができるか、腱鞘の一部が炎症を起こし、腫れたたために生じます。
   指を握った状態から、伸ばす時に、引っかかり、バネの様に、指が伸びる病気です。
   その時、弱い〜強い痛みが伴います。
   簡単な病気ですが、こじらすと、意外に治り難いです。手術に至ることも少なくありません。


(2)ばね指と腱鞘炎との違い
   ばね指の正式な名前は、狭窄性腱鞘炎です。すなわち、腱鞘炎の中の一つです。
   腱鞘とは、腱の滑りを良くし、腱が傷まないように保護をしている鞘です。
   腱鞘は、腱がストレスを受けやすい場所にあります。
   手のひらにある腱鞘は、力強い動きをするために、靱帯(輪状靱帯)により補強されています。
   そのため、手のひらにある腱鞘は、単に痛く腫れるだけの腱鞘炎ではなく、
   ばね指という腱鞘炎になって、始めて病気に気づくことが多いです。
   
(3)ばね指の解剖図と説明







(4)ばね指と五十肩との類似点
 両者は似た者同士である。下の表で比較してみた。

五 十 肩 ば ね 指
 腱  形態 4つの筋肉の腱が合わさり、板状に見える腱板 ひも状の長く伸びた腱
 働き 板状に肩関節を覆うことで、脱臼の防止と複雑で大きな動きが出来る 長く伸びることで、強く握ることが出来る
 腱の保護組織 (肩峰下)滑液包 腱鞘
 腱の補強組織
(トンネルの屋根)
烏口肩峰アーチ(烏口突起、肩峰、烏口肩峰靱帯) 輪状靱帯
 トンネルの屋根の性状 伸縮性がなく、硬く固定している 伸縮性があり、伸びる
 腱の炎症の仕方 腕を挙げる時に、腱板がアーチに圧迫される。
寝ている時の持続性圧迫
コブが靱帯に入り込む時に、靱帯を押し広げる。
その時、こすれ合って、炎症を生じる
 夜間(就寝時)
の変化
寝ている姿勢が毒+リンパの活動優位
             (むくみが強くなる)
         夜間痛を生じやすい
無意識に、強く握ってしまう
リンパの活動優位によるコブの増強
           
  モーニングアタック(朝の一撃)
 腱の病状 縮み、かつ硬くなる むくみ、硬く肥厚する→コブ(結節)
 治療目標 硬く、縮んだ腱板→柔らかくなり、伸びるようにする
初期の、適切な治療と振り子運動
コブ状に肥厚したものが、小さく縮む(萎縮)のを促進させる
モーニングアタックの回避